ご挨拶
第26回日本異種移植研究会 当番世話人 佐原 寿史 鹿児島大学 先端科学研究推進センター 生命科学動物実験ユニット 大動物研究推進部門 |
ますます進化し続ける生命科学分野における研究の発展を基にして、異種移植に関する研究も著しい進歩を遂げています。このような状況のなか、鹿児島市で開催される第26回日本異種移植研究会の当番世話人を務めることとなり、大変光栄に思っております。 本研究会は、「異種移植の未来に向けた取り組み~Xenotransplantation: The Present and Future」と題して開催され、国内外の研究者が集い、活発な討議が行われる予定です。参加者の皆様とともに、異種移植の臨床応用に向けた研究が進展している米国や中国における最新の研究動向を正確に把握し、また日本国内における研究の現状を共有することで、今後の研究課題について有意義な議論を行うことができるものと期待しております。そしてこの研究会が、日本における異種移植の未来に向けた重要な一歩となることを願っております。 異種移植の臨床試験開始に向けた指針作りが国際的に本格化している中、日本でも臨床使用グレードの遺伝子改変ブタ作出が進み、厚労省特別研究事業「遺伝子改変を行った異種臓器の移植に関する課題や論点等の整理のための調査研究」や、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)事業「遺伝子改変動物由来の臓器・組織の品質・安全性に関する研究」など、国が主導する研究が始まっております。今後、日本において異種移植の臨床応用を考える際には、ドナー遺伝子改変動物の作出や感染制御、適切な免疫抑制療法の評価、移植臓器の生理学的にヒトに適合した状態での維持、異種移植に適した患者群の同定や移植後管理法、さらに社会における正確な認知に至るまで、多くの検討すべき課題がございます。本研究会が、異種移植の現状と今後の展望に対する理解を深める一助となれば幸いです。 本研究会は、天文館という南九州最大の繁華街に位置する鹿児島商工会議所アイムビルで開催されます。過去に鹿児島大学が当番世話人として2度の研究会を開催しておりますが(2009年の第12回は高尾尊身先生、2013年の第16回は山田和彦先生)、前回は大阪での開催であったため、15年ぶりの鹿児島市での開催となります。鹿児島市の地元の特産品や美味しい焼酎など、南九州の魅力を存分に感じられながら、異種移植の未来を拓く場を築くことができるよう、事務局一同、全力で準備を進めて参ります。 この度、私が当番世話人としてお手伝いさせていただく本研究会が、貴重な情報交換の場となることを心より願っております。ご参加いただく先生方のお越しを心待ちにしております。 |